ゾロアスター教の宇宙論の空間構造、そして、パンテオンと諸存在の位階について紹介します。
まず、宇宙論の空間構造です。
ゾロアスター教では3つの善が重視されます。正しい思い=「善思」、正しい言葉=「善語」、正しい行い=「善行」です。
これは宇宙論にも反映しています。宇宙は、天国、中間界、地上、地獄の4つから構成されます。
天国は、上から、アフラ・マズダの住む「光明界」、「善行界=太陽界」、「善語界=月界」、「善思界=星辰界」の4段階からなります。
地獄を同様に4段階からなります。
(ゾロアスター教の空間) | |
天国 | 光明界 |
善行界=太陽界 | |
善語界=月界 | |
善思界=星辰界 | |
中間界 | |
地上 | |
地獄 | 悪思界 |
悪語界 | |
悪行界 | |
無限地獄 |
次に、ゾロアスター教の神々のパンテオンと諸存在の位階についてです。
ゾロアスターはアフラ・マズダを「無限光」、「完全なる善」と形容しました。
アフラ・マズダは宇宙を作る際、階層的に高い存在から順に作りました。
まず、スプンタ・マンユを筆頭にする7大天使である「アムシャ・スプンタ」です。
これらは「聖霊(スプンタ・マンユ)」、「善思(ウォフ・マナフ)」、「正義(アシャ)」、「統治(クシャスラ)」、「敬虔(アールマティー)」、「完全(ハルクタート)」、「不滅(アムルタート)」という抽象的な性質を持っていて、一般に前4者が男性(中性)で後3者が女性の大天使です。
この中の「正義(アシャ)」は、善なる世界全体を貫く「理法」でもあって、重要な意味を持っていました。
中でも、ウォフ・マナフが長男(右座)、アールマティーが長女(左座)の位置で重視されました。
また、アムシャ・スプンタはインド・ヨーロッパ語族の3階層の神々をゾロアスターが抽象な性質を持った神格に置き換えたのだとも言われています。
つまり、ウォフ・マナフは「主権神」ミスラを、アシャは「主権神」アパム・ナパートを、クシャスラは「戦争神」ワユを、後2者が「豊穣神」を、アールマティーは3階層とは別の川女神アナーヒターを置き換えたものだと言われています。
ゾロアスター教の7アムシャ・スプンタ | ||
スプンタ・マンユ | 聖霊 | ← 天上主権神 |
ウォフ・マナフ | 善思 | ← 天上主権神・ミスラ系 |
アシャ | 正義 | ← 天上主権神・アパム・ナパート系 |
クシュラ | 統治 | ← 天空戦争神・ワユ系 |
アールマティ | 敬虔 | ← 川女神系 |
ハルクタート | 完全 | ← 地上神・豊饒系 |
アムルタート | 不滅 | ← 地上神・豊饒系 |
次が、神々である「ヤザタ」です。
そして、その次が守護霊「フラワシ」です。
フラワシは人間だけでなく、宇宙のすべての中に存在する霊的本質のようなものです。
フラワシによって宇宙は秩序と創造性を持って働きます。
ただ、最後に、物質的宇宙の存在そのものに関しては、低い存在から順に作りました。
つまり、鉱物から始めて植物、動物、として原人間と進化の順に作られ、最後に「火」に至りました。
ゾロアスター教の人間を構成する階層 | |
フラワシ | 守護霊 |
ダナーエ | 霊 |
ルワン | 魂 |
バオダハ | 心(アストラル体) |
アフ | 気の体(エーテル体) |
「火」はアフラ・マズダの息子と呼ばれ、アシャの象徴であり、悪を浄化する存在として重視されました。終末に世界を浄化するのも「火」です。
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