アナクシマンドロス、ヘラクレイスト、エンペドクレスらは、いずれも「4大元素によって構成される宇宙が周期的に生滅を繰り返す」という宇宙論を持っています。
バビロニアやズルワン主義の思想の影響を受けたのかもしれません。
ですが、彼らの思想には、それぞれに違いがあります。
ギリシャで最初に体系的な宇宙論を書き残したのはアナクシマンドロスです。
彼の宇宙論では、まず、「無限定なもの」から、火、風、水、土の4大元素が秩序立って層をなす世界が生み出されます。
自然や生物は、この秩序を越えて、4大元素を結びつけながら生まれた罪なる存在です。
ですが、やがては4大元素に戻っていきます。
4大元素の正しい場所が決められているこの思想には、「モイラ(運命)」の新しい考え方を見つけることができます。
そして最終的には、4大元素も「無限定なもの」に帰っていくのです。
ヘラクレイトスの世界観は中国の道教思想と似ています。
彼は自然を生滅流転するものと考えました。
アナクシマンドロスが4大元素を4つに分離された秩序と考えたのとはまったく反対に、ヘラクレイトスは物質が4つの元素の姿に順に変化していくと考えました。
これは「モイラ」を否定するような考え方です。
そして、彼は自然の生成変化する運動性が極限に高まったものを至高存在として考えました。
そして、その至高存在においては、あらゆる反対の性質が一致するのです。
世界は生まれてから1万800年の後に、火によって燃焼して浄化され、新たに生まれかわります。
エンペドクレスの宇宙論は後の項で紹介します。
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