「神智学の宇宙発生論と宇宙の階層」に続いて、「シークレット・ドクトリン」、そして、神智学における人間の本質に関してまとめます。
人間の本質は、前項でまとめた宇宙の階層と対応関係があります。
人間の本質は、前項でまとめた宇宙の階層と対応関係があります。
<モナド>
神智学では、人間は、素材と生命に、神性としての霊魂が結びついた存在であると考えます。
その神的な霊魂は、「モナド」から生まれ、人間に知性と自我を与えることで、人間らしい本当の人間を生みます。
その神的な霊魂は、「モナド」から生まれ、人間に知性と自我を与えることで、人間らしい本当の人間を生みます。
「モナド」は、神性である「第1ロゴス」が小部分となった分霊(分神)的存在で、「火(霊的な火、生ける火)」とも表現されます。
「モナド」という言葉は、ピタゴラス派やヴァレンティノス派グノーシス主義から来ています。
ですが、その本質は、ヴェーダーンタ哲学やサーンキヤ哲学の、「ジーヴァ・アートマン」であり、個々の「プルシャ」です。
ですが、その本質は、ヴェーダーンタ哲学やサーンキヤ哲学の、「ジーヴァ・アートマン」であり、個々の「プルシャ」です。
また、神話的には、ゾロアスター教における原人間ガヤマルタンの「精子」、ミトラ教、マニ教における原人間(アフラ・マズダ)が砕けた「光のかけら」、ヘルメス文書「ポイマンドーレス」における原人間アントロポスの分神的な「霊魂」、ディオニュソス秘儀における「八つ裂きにされたディオニュソス」などの神話で表現されています。
つまり、神的存在の死せる一部分が、不死なる霊魂として人間の中に入ったものです。
つまり、神的存在の死せる一部分が、不死なる霊魂として人間の中に入ったものです。
「モナド」は「第2ロゴス」の中にもあり、「モナド・エッセンス」と呼ばれます。
「モナド・エッセンス」は、質料に形態に生命を与え、進化する生命の流れを生みます。
これには、物質的な体を持たないモナド、鉱物モナド、植物モナド、動物モナドなどがあって、個別化されていない無意識的な存在です。
「モナド・エッセンス」は、質料に形態に生命を与え、進化する生命の流れを生みます。
これには、物質的な体を持たないモナド、鉱物モナド、植物モナド、動物モナドなどがあって、個別化されていない無意識的な存在です。
「モナド・エッセンス」は、生命の進化によって、人間の可死の部分である、「低級自我」、「パーソナリティ」と呼ばれる「低級4組」に進化します。
一方、「第1ロゴス」に由来する「モナド」は、そのままで「アヌパーダカ界」まで下降します。
ですが、その後の下降は、順に「アートマ」、「ブッディ」、「マナス」をまとって人間に入ります。
これが人間の不死なる部分で、「高級自我」、「魂(ソウル)」とも呼ばれる「高級3組(3複体)」です。
ですが、その後の下降は、順に「アートマ」、「ブッディ」、「マナス」をまとって人間に入ります。
これが人間の不死なる部分で、「高級自我」、「魂(ソウル)」とも呼ばれる「高級3組(3複体)」です。
アディヤール派では、3重の「ロゴス」が「モナド」においては、「意志」、「叡智」、「活動」として現れ、それが「アートマ」、「ブッディ」、「マナス」に働きかけるとします。
この「高級自我(高級3組)」が「低級自我(低級4組)」と結びついて人間的な人間になります。
<人間の7本質>
こうして、人間を構成する7本質が生まれます。
1 アートマ(霊、意志、意識)
2 ブッディ(霊的魂、直観、ヌース)
3 マナス(マインド、思考、人間魂)
-1 高級マナス(ブッディと結びついてコーザル体に)
-2 低級マナス(カーマ・ルーパと結びついてメンタル体に)
4 カーマ・ルーパ(感情、動物魂)
5 リンガ・シャリーラ(アストラル体)
6 プラーナ(生命、エーテル)
7 ストゥーラ・シャリーラ(ルーパ、肉体)
2 ブッディ(霊的魂、直観、ヌース)
3 マナス(マインド、思考、人間魂)
-1 高級マナス(ブッディと結びついてコーザル体に)
-2 低級マナス(カーマ・ルーパと結びついてメンタル体に)
4 カーマ・ルーパ(感情、動物魂)
5 リンガ・シャリーラ(アストラル体)
6 プラーナ(生命、エーテル)
7 ストゥーラ・シャリーラ(ルーパ、肉体)
1~3が高級本質、4~7が低級本質です。
ですが、3の「マナス」は低級本質の「カーマ・ルーパ」と結びついてそれに染まった「低級マナス」と、「ブッディ」に向いた「高級マナス」に分かれます。
「高級マナス」は「コーザル体」、「低級マナス」は「メンタル体」と呼もばれます。
ですが、3の「マナス」は低級本質の「カーマ・ルーパ」と結びついてそれに染まった「低級マナス」と、「ブッディ」に向いた「高級マナス」に分かれます。
「高級マナス」は「コーザル体」、「低級マナス」は「メンタル体」と呼もばれます。
ブラヴァツキー夫人はこれらを仏教の説であると書いています。
ですが、ヒンドゥー哲学の3シャリーラ説の用語が使われています。
使われていないもう一つの「コーザル・シャリーラ」は2に相当するでしょう。
ですが、ヒンドゥー哲学の3シャリーラ説の用語が使われています。
使われていないもう一つの「コーザル・シャリーラ」は2に相当するでしょう。
また、ブラヴァツキー夫人は、ヒンドゥー哲学の5鞘説の対応では、2が「アーナンダマヤ・コーシャ」、3が「ヴィシュニャーマヤ・コーシャ」と「マノーマヤ・コーシャ」、5が「プラーナマヤ・コーシャ」、7が「アンナマヤ・コーシャ」に当たるとしています。
しかし、ブラヴァツキー夫人は、晩年のES(エソテリック・セクション)に向けた記事では、4と5を「カーマ体」として統一し、3の「マナス」を高位、低位の「メンタル体」に分けて7本質としました。
また、1の「アートマ」を「オーラ卵」と表現しました。
また、1の「アートマ」を「オーラ卵」と表現しました。
1 オーラ卵
2 ブッディ体
3 高位メンタル体
4 低位メンタル体
5 カーマ体
6 エーテル体
7 物質体
2 ブッディ体
3 高位メンタル体
4 低位メンタル体
5 カーマ体
6 エーテル体
7 物質体
神智学では、3を単に「ナマス」、もしくは「コーザル体」、4を単に「メンタル体」と表現する場合もあります。
また、リードビーターやベイリーは、「低級4組」を、4、5、6&7の「低級3組」と見ます。
また、リードビーターやベイリーは、「低級4組」を、4、5、6&7の「低級3組」と見ます。
<死後の人間>
人間は死後、6、7が物質界で消滅し、上位5本質が「カーマ・ローカ(アストラル界)」に入ります。
伝統的には、この世界は「冥界」、中でも低次の層は「地獄」、高次の層は「桃源郷」と呼ばれた世界です。
この世界は、想念(感情、イメージ)が形を取って見える世界ですが、普通の人は自分の思念に囲まれて夢を見ているような状態になり、その外をほとんど認識できません。
人は睡眠中も、肉体を離れて、この世界に遊離して夢を見ています。
人は睡眠中も、肉体を離れて、この世界に遊離して夢を見ています。
しばらくすると、高級3本質(1、2、3)が4、5と分離して、「デヴァチャン界(神界、天界)」に入ります。
分離された4、5は抜け殻の「幽体」となりやがて消滅しますが、これが降霊術で呼ばれる存在です。
分離された4、5は抜け殻の「幽体」となりやがて消滅しますが、これが降霊術で呼ばれる存在です。
「神智学大要」によれば、「デヴァチャン界」は「メンタル界」で、低次な層は有形、高次の層は無形です。
まず、5だけを分離して「メンタル体」で「メンタル界」の下層に入り、その後、4も分離して「コーザル体」で「メンタル界」の上層に入ります。
ですが、上層であるほど、そこに入れる人は限られてきます。
まず、5だけを分離して「メンタル体」で「メンタル界」の下層に入り、その後、4も分離して「コーザル体」で「メンタル界」の上層に入ります。
ですが、上層であるほど、そこに入れる人は限られてきます。
「デヴァチャン界」は、色彩と光と喜びに溢れた世界です。
「デヴァチャン界」でも、自分が作った思念(思考)に回りを取り囲まれた半意識状態になる、ということは同じです。
「デヴァチャン界」でも、自分が作った思念(思考)に回りを取り囲まれた半意識状態になる、ということは同じです。
ブラヴァツキー夫人によれば、高級3本質である「高級自我」は、「デヴァチャン界」で過ごした後、惑星霊として過ごすと言います。
そしてその後、転生します。
「高級自我」は輪廻の主体です。
「高級自我」は輪廻の主体です。
人間の中で「高級3本質」と「低級4本質」と結びつく事件は、神智学の宇宙論において、下降進化から上昇進化への転換点です。
これは、我々の地球では、ほんの少し前に起こった事件とされます。
その詳細に関しては、「神智学の生命発生論と地球進化系」に続きます。
・ブラヴァツキー夫人と神智学協会の歴史
・神智学協会アディヤール派と分派の歴史
● 「シークレット・ドクトリン」の宇宙発生論と宇宙の階層
● 「シークレット・ドクトリン」における人間の本質と階層
● 「シークレット・ドクトリン」の生命発生論と地球進化系
● 「シークレット・ドクトリン」の人類発生論と堕天神話
・7光線理論と秘教占星学(アリス・ベイリー、他)
・ハイアラーキーとイニシエーション(ベイリーとリードービーター)
● 神智学の思想の背景と本質
・神智学協会アディヤール派と分派の歴史
● 「シークレット・ドクトリン」の宇宙発生論と宇宙の階層
● 「シークレット・ドクトリン」における人間の本質と階層
● 「シークレット・ドクトリン」の生命発生論と地球進化系
● 「シークレット・ドクトリン」の人類発生論と堕天神話
・7光線理論と秘教占星学(アリス・ベイリー、他)
・ハイアラーキーとイニシエーション(ベイリーとリードービーター)
● 神智学の思想の背景と本質
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