神智学のハイアラーキーとイニシエーション

アリス・ベイリーとアディヤール派のリードビーターが語る、ハイアラーキー(シャンバラの白色同胞団の聖職組織)の構造、そして、その位階に関わるイニシエーションについて、まとめます。

このテーマは、ブラヴァツキー夫人の著作や文章にも語られますが、最初に体系的に語ったのは、アリス・ベイリーの1922年の著「イニシエーション」です。
ですが、これは、神智学協会本部の機関誌「セオソフィスト」の掲載を拒否、中断されたものです。

一方、リードビーターがこのテーマについて語った主著は、クリシュナムルティ運動の最中で、彼の覚醒があったとされる1925年に出版された「大師とその道」です。


<ベイリーのハイアラーキー論>

アリス・ベイリーは、「シャンバラ・ハイアラーキー」には、3つの主要センターがあるとします。
「シャンバラ」、「ハイアラーキー」、そして、「人類」です。
それぞれは、第1光線(意志と力)、第2光線(愛と智恵)、第3光線(活動的知性)の影響を受けています。

また、「シャンバラ」から「ハイアラーキー」の見習いである「人類」までを含めて、「惑星ハイアラーキー」と総称します。

「シャンバラ」は、ゴビ砂漠上空のエーテル界に存在し、大評議会を組織しています。
そして、「惑星ロゴス」を反映する「意志」のエネルギーを放射しています。
また、地球の生命の進化に向けての「大目的の作成」を行います。

「シャンバラ」のトップは、「世界主(世界の王)」の「サナート・クマーラ」です。
彼は、地球のすべての進化の監督者であり、大評議会を主宰し、すべてのイニシエーションに参加する、エーテル界にいる存在です。

「サナート・クマーラ」の下には、彼を補佐する3人の「活動の仏陀(クマーラ)」がいます。
また、彼らとは別に3人のクマーラがいますが、彼らは姿を隠した存在です。

「シャンバラ」には、他に、「4人のカルマの主」がいます。
彼らは、人間の運命の分配、アーカーシャの記録を行っています。


「シャンバラ」と「ハイアラーキー」の間を、「ニルマナカーヤ」と呼ばれる存在がつないでいます。
彼らは、アートマ界においてグループで瞑想して、「シャンバラ」の「大目的」を「大計画」に具体化して「ハイアラーキー」に提示します。

ちなみに、ベイリーは、瞑想を、高次な存在を低次な世界にもたらす創造的な作業と考えます。
また、個人瞑想は集団瞑想のための準備であるとします。

「ハイアラーキー」は「愛と智恵」のセンターであり、「人類」を悪から守る防護壁としての役目を負っています。
そして、大計画に基づいて指導を行い、イニシエーションの準備をさせ、「人類」の意識を目覚めさせる手助けを行っています。

「ハイアラーキー」には、7光線に対応する7つの組織と人がいます。

第1光線に対応する組織のトップは、「マヌ(人祖)」です。
政治的・物質的領域を担い、人種のタイプと形態の基礎を築き、監督します。
彼の下には、ジュピター大師、モリヤ大師(秘教学派の長)がいます。

第2光線に対応する組織のトップは、「世界教師(キリスト)」であり、現在はマイトレーヤが務めています。
宗教的・霊的領域を担い、「ハイアラーキー」を統括し、人間の霊的運命を導きます。
彼の下には、「ヨーロッパ人の大師」と呼ばれる大師、クートフーミ大師、ジュワル・クール大師がいます。

第3光線に対応する組織のトップは、「文明の主」と呼ばれる「マハーチョーハン」です。
科学的・知的領域を担い、文明の創造を行なっています。
彼の下には、「ヴェネチア人の大師」と呼ばれる大師がいて、さらに下位の組織を統括する組織の長を務めています。

その下位組織は、第4~第7光線に対応する4つの下位組織です。
この4組織にはそれぞれ、セラピス大師、ヒラリオン大師、イエス大師、ラコッツィ大師(サンジェルマン大師)がいます。
第3光線の組織の全体には、7つの光線と7人の「マハーチョーハン」が長となっている7つの主要アシュラムと、42の二次的アシュラムがあります。
これらアシュラムは、祈願の集団瞑想を行っています。


「ハイアラーキー」と「人類」をつなぐ存在として、「世界奉仕者の新団体」があります。
彼らは、「ハイアラーキー」と一般大衆の媒介者であり、数百万人が活動しています。

「人類」は、「活動知性」のセンターです。
鉱物、植物、動物の3王国(世界)への霊的エネルギーの分配・媒介も行っています。

「人類」には、一般の人間の上に、ハイアラーキーのマスターに対する「見習い」がいて、その上に「弟子」がいて、さらにその上に第1から第4のクラスのイニシエート達がいます。

(シャンバラ・ハイアラーキーと7光線の対応)
1:シャンバラ
  世界主→活動の仏陀→カルマの主
2:ハイアラーキー
 -1:マヌ
 -2:世界教師
 -3:文明の主 → 4・5・6・7
3:人類
  イニシエート→弟子→見習い→一般人


また、神智学では、地球上の人間のハイアラーキーとは別に、全部で12の「創造的ハイアラーキー」があり、進化の手助けをしているとします。
そのうち、4つはすでに役割を終え、1つは終えつつあり、残り7つが影響を持っています。

ベイリーは、「創造的ハイアラーキー」に関しても、7光線の対応があるとします。
ただし、彼女の創造的ハイアラーキーの捉え方は、アディヤール派とは異なるようです。

(ハイアラーキー)     (光線)(階層)
第1創造ハイアラーキー   :3 :
第2創造ハイアラーキー   :4 :
第3創造ハイアラーキー   :5 :
第4創造ハイアラーキー   :6 :
第5創造ハイアラーキー   :7 :キリスト覆う
神聖な炎のハイアラーキー  :1 :ロゴス界
神聖な建設者のハイアラーキー:2 :モナド界
下位の建設者のハイアラーキー:3 :アートマ界
人間ハイアラーキー     :4 :ブッディ界
人間のパーソナリティ    :5 :メンタル界
月の主達のハイアラーキー  :6 :アストラル界
エレメンタルのハイアラーキー:7 :物質界


<ベイリーのイニシエーション論>

「イニシエーション」というのは、人が意識の拡大、成長、進化をしていくために通る試験、儀式であり、上位の「ハイアラーキー」の存在がそれを主宰します。
「イニシエーション」を通過することで、「ハイアラーキー」の位階が変わります。

ベイリーの、最初の著「イニシエーション」で語られる7つのイニシエーションは、下記のようにまとめられます。
いくつかのイニシエーションは、イエスの生涯との対比で説明されています。

(チャクラ)(主宰者) (階層)  (イエスの人生の対応)
1:頭頂 :世界教師:物質界    :馬屋での誕生
2:心臓 :世界教師:アストラル界 :ヨルダン川での洗礼
3:喉  :世界主 :低位メンタル界:
4:臍下 :世界主 :高位メンタル界:十字架上の磔刑
5:基底部:世界主 :ブッディ界  :
6:   :    :アートマ界  :
7:   :惑星霊 :モナド界   :

また、ベイリーは、人間の成長にとっての「3つの障害」を語ります。
「マーヤー」は、エーテル体の障害で、エーテル体にコントロールされて、それを自分であると思い込んでしまいます。
「グラマー」は、アストラル体の障害で、感情的な反応による惑わしを真実と思い込んでしまいます。
「イリュージョン」は、メンタル体の障害で、新しいアイディアを他と切り離して、全体的な理解を失ってしまいます。

第1イニシエーションは、肉体の高い統制、「マーヤー」の克服が求められます。
次のイニシエーションまでは、通常、多くの転生が必要とされます。

第2イニシエーションでは、アストラル体の高い統制、「グラマー」の克服が求められます。
次のイニシエーションまでは、同じ生涯でも可能です。

第3イニシエーションでは、メンタル体の高い統制、「イリュージョン」の克服が求められます。
このイニシエーションを経て、個性と魂が一体化、モナドと接触、ハイアラーキーのメンバーと交流が可能になります。

第4イニシエーションでは、「パーソナリティ(コーザル体)」の放棄が求めれます。
このイニシエーションを経て、「モナド」と自由に対面し、「モナド」が直接個性に働きかけることが可能になります。

第5イニシエーションでは、地球における学びが終了します。
人間から見て完全な存在、大師のレベルになります。

ですが、望むならば後2つのイニシエーションを受けることができます。
第6イニシエーションでは、惑星連鎖の法則を行使できるようになり、第7イニシエーションでは、太陽系の法則を行使し、太陽ロゴスの力が流れるようになります。

第1から第5のイニシエーションは、メンタル界で、第6イニシエーションはブッディ界で、第7イニシエーションはアートマ界で受けます。

第5イニシエーションを経た人間は、次に進むべき方向として「7つの道」から選択します。
地球のハイアラーキーでの奉仕、様々な磁気的な力を行使して働く、惑星ロゴスになる訓練、シリウスとプレアデスに行く、自らの光線に留まって働く、ロゴス自身が辿る道、ロゴスより高い存在の子となる、です。

しかし、晩年の著「光線とイニシエーション」で語られる9つのイニシエーションは、下記のようにまとめられます。
この著では7光線と対応づけられるようになりますが、チャクラや階層の対応は、著「イニシエーション」から変わっています。

(光線) (チャクラなど)  (階層)  (名称)
1:第7光線 :仙骨     :物質界   :誕生
2:第6光線 :臍下     :アストラル界:洗礼
3:第5光線 :眉間     :メンタル界 :変容
4:第4光線 :心臓     :ブッディ界 :放棄(磔刑)
5:第1光線 :基底     :アートマ界 :啓示(復活)
6:第3光線 :喉      :モナド界  :決断
7:第2光線 :頭頂     :ロゴス界  :復活
8:第4-7光線:ハイアラーキー:惑星系   :移行
9:第1-3光線:シャンバラ  :太陽系   :拒絶


<リードビーターのイニシエーション論>

リードビーターが「大師とその道」で語るシャンバラ・ハイアラーキーの組織と7光線の対応は、ベイリーと基本的に変わりません。
ですが、イニシエーションに関しては、かなりの違いがあります。

リードビーターは、ブラヴァツキー夫人を継承して、アビダルマ仏教の修道論を取り入れて、イニシエーションを語ります。

彼の語るイニシエーション論は下記ようにまとめられます。

   (位階)         (障害) 
1:預流(ソーヴァン)     :三結
2:一来(サカダーガーミン)  :五下分結
3:不還(アナーガーミン)   :五下分結
4:阿羅漢(アラハット)    :五上分結
5:アデプト、無学道(アセーカ)
6:チョーハン
7:マヌ、世界教師、マハーチョーハン
8:活動的仏陀
9:世界主

このように、リードビーターはアビダルマ仏教の修道論を借りて、位階は四沙門で、障害は三結と十結で語ります。

第1イニシエーションを経ると、高級自我と低級自我が一体になり、ブッディに達して一体性を理解できるようになります。

第2イニシエーションを経ると、一時的なアストラル体(幻影体)を使って活動し、ブッディを肉体にもたらすことができるようになります。

第3イニシエーションには、高次メンタル界の諸力の統制が必要で、「アヴィーチ(波のない)」という意識状態の体験ができるようになります。
アビダルマ仏教の「滅尽定」のことでしょうか。

第4イニシエーションを経ると、「涅槃(アートマ界)」に入ることができるようになります。
ここにと到るまで、7生が必要とされます。

第5イニシエーションは、地球における学びの終了です。
前のイニシエーションからここに到るまで、やはり7生が必要とされます。

この後は、涅槃に入って時に法身をまとう、霊的期間に入って報身をまとう、応身をまとって霊力の宝庫の一部になる、ハイアラーキーのメンバーに残る、次の連鎖の準備をする、天使・デーヴァとして進化する、太陽系のどこかでロゴスの奉仕する、という「7つの道」の選択があります。


神智学の7光線理論と秘教占星学

BC2Cにシリアでマギのマクシムスらによって、ズルワン主義=ミトラ教の宇宙論・占星学理論として作られたのが、7光線理論です。
これは「マグサイオイ文書」などに記されています。
また、この理論は、マニ教、サビアン教に継承されました。

これは宇宙の創造・進化を司る根源的な7つの原理である7光線があるとする理論です。
第1~3光線は最も根源的な光線で、第4~7光線は第3光線から派生します。

ブラヴァツキー夫人は、7光線については、一言言及する程度で、詳細は述べていません。
ですが、夫人は、神智学協会に占星学部門を設立し、神智学独自の秘教占星学が生まれました。

アリス・ベイリーは、神智学の教義、そして、秘教占星学を7光線理論を基礎に独自に発展させました。
また、アディヤール派のリードビーターも、少しですが独自の7光線理論を展開しました。


<アリス・ベイリー>

アリス・ベイリーは、1880年に、マンチェスターの熱心な伝統的キリスト教の家庭に生まれました。
彼女は聖職者の夫と結婚してアメリカに渡りました。

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友人の誘いをきっかけに神智学に出会って、1917年に協会に、そして、翌年にはエソテリック・セクション(ES)に入会しました。
1919年には、アメリカの協会の事務官の夫と再婚し、彼女は地方雑誌の編集長などになりました。

同年、ベイリーに、ジュワル・クール大師からテレパシーなどでの接触が始まったとされます。
ただ、彼女がジュワル・クール大師の名前を公開したのは、彼女が亡くなる直前で、それまでは、匿名のチベット人で、モリヤ大師やクートフーミ大師を助ける弟子とされていました。
そして、ベイリーは、彼から伝えられた教えを続々と出版していきます。

ベイリーが最初に出版したのは、1922年の「イニシエーション」です。
この書の内容は、白色同胞団(シャンバラ・ハイアラーキ―)の組織とイニシエーションの階梯を7光線理論と関係付けながら体系的に説いたものです。
最初、この文章はインドの協会本部が発行する機関誌「セオソフィスト」に掲載されましたが、批判が起き、その後の掲載はなくなりました。

それでベイリーは、1923年に神智学協会を離れて「アーケイン・スクール」を設立し、通信教育などに努めました。

1925年には「シークレット・ドクトリン」の続編という「宇宙の火」を発表しました。

1947年には「キリストの再臨」を発表し、キリストが自分自身、肉体で再臨することを決定したと表明し、神智学協会のメシアニズムを復活させました。
彼女はキリストによるクリシュナムルティの訓練が中止になったのは、過剰に盲目的に献身するメンバーによって歪められたことが理由だと言っています。

1936年から1960年にかけては、7光線理論を基にした「秘教心理学I、II」、「秘教占星学」、「光線とイニシエーション」などの5冊のシリーズを出版しました。

その他にもジュワル・クール大師由来の書は多数あり、アリス・ベイリー自身の著作も出版されています。

ベイリーは、ブラヴァツキー夫人が伝えたのは「準備的な教え」であり、自分が伝えているのは「中間的な教え」であり、また、1975年以降には放送メディアを使った「啓示的な教え」がなされると予言していました。

また、彼女は、「天秤座の時代」、「ニューエイジ」という言葉を使って新しい時代が始まっているとも主張し、これは70年代西海岸のニューエイジ運動にも影響を与えました。

古い「魚座の時代」は、第6光線が主導し、自我の確立、抽象的理想、権威に従うことが特徴であり、新しい「天秤座の時代」は、第7光線が主導し、グループ、多様な理想の包括、魂に従い自立することが特徴だと言っています。
クリシュナムルティ運動の失敗の理由とも整合します。


<ベイリーの7光線理論>

ベイリーは、第1~第3ロゴスに対応する主要な3光線を、「様相光線」と表現し、次のような性質を持っているとしました。

1:意志と力
2:愛と智恵
3:活動的知性

そして、第3光線から発生する4つの光線を、「属性光線」と表現し、下記のような性質を持っているとしました。

4:調和と美
5:具体的知識
6:献身と理想主義
7:儀式的秩序、魔術

7光線を3と4に分ける思想は、ヤザダ教の7大天使に関わるクーニー・クァーフ論などがあります。

7光線は、まず、大熊座7星、プレアデス7星、シリウスを通して、次に、12星座や太陽、惑星、地球などを通して、我々に伝わります。

7光線は、第1、第2、第3のロゴスによって、星座と惑星の伝播経路が異なります。

(神聖惑星)(非神聖惑星)(第1ロゴス)(第2ロゴス)(第3ロゴス)
1:ヴァルカン:冥王星  :牡羊座   :山羊座  :獅子座
2:木星   :太陽   :双子座   :魚座   :乙女座
3:土星   :地球   :蟹座    :山羊座  :天秤座
4:水星   :月    :牡牛座   :射手座  :蠍座
5:金星   :なし   :獅子座   :水瓶座  :射手座
6:海王星  :火星   :乙女座   :魚座   :射手座
7:天王星  :なし   :牡羊座   :山羊座  :蟹座    

また、時代や国、そして、個人の「魂(高級自我)」や「パーソナリティ(低級自我)」は、それぞれ、7光線のうちの特定の光線に支配・主導されます。

大きなレベルでは、現在の太陽系は第2光線に主導されています。
また、先に書いたように、古い「魚座の時代」は第6光線が主導し、新しい「天秤座の時代」は第7光線が主導するようになっています。

最終的に、7光線はチャクラを通して我々の中に入ります。
神智学の教義では、チャクラは、7光線の高い次元からの力を受け取る器官です。

ベイリーは、インドの一般的な7つのチャクラに、西洋の秘教の伝統である脾臓のチャクラを加えて、8つのチャクラを数え、その7光線との対応を書いています。
頭頂チャクラを別格として、これを通して、その下の3つのチャクラに3つの主要光線が送られるとします。
ただし、上部のチャクラが働いているのは、イニシエートだけで、一般の人間は下4つのチャクラだけです。

1-3:頭頂のチャクラ
1 :眉間のチャクラ
2 :喉のチャクラ
3 :心臓のチャクラ
4 :脾臓のチャクラ
5 :臍下のチャクラ
6 :仙骨のチャクラ
7 :基底部のチャクラ

また、ベイリーは、著「イニシエーション」では、シャンバラ・ハイアラーキ―の組織、メンバーと7光線の関係を説明し、著「光線とイニシエーション」では、9段階のイニシエーションと7光線の関係を説明しました。
こられに関しては別項を参照ください。


<神智学の秘教占星学とベイリー>

神智学には、「秘教占星学(サビアン占星学)」の流れがあります。

ブラヴァツキー夫人の依頼によって、アラン・レオがイギリス神智学協会の占星学部門を設立し、「秘教占星学」の基礎を築きました。
そして、ロスアンゼルス支部ではマーク・E・ジョーンズが「秘教占星学」を発展させました。
ベイリーは、それらを継承して「秘教占星学」を独自に発展させました。

「秘教占星学」は、カルデア・ミトラ(マギ)系、サビアン教の占星学を継承しながら、神智学の教義や、当時の天文学を取り入れながら、現代に適合するように構築したものです。

ジョーンズは、吉凶を判断するのではなく、各自の性向と未来の選択の方法として「秘教占星学」を考え、1度ごとのシンボルを使用し、それを「サビアン・シンボル」と表現しました。

ベイリーは、従来の占星術は、人間の「パーソナリティ」を分析するものだけれど、新しい時代においては、個人の「パーソナリティ」は克服されていくので、これからは個人の「魂」を分析する新しい「秘教占星学」が必要だと言います。

そして、ベイリーは、従来の一般人の「パーソナリティ」を対象にした占星学、弟子とイニシエートの「魂」を対象にした秘教占星学、さらに、ハイラーキーレベルの「モナド」(?)を対象にした秘教占星学のそれぞれにおける、星座と支配星、光線の対応を提示しました。

下記のような形です。

(星座)(パーソナリティ)  (ソウル)      (モナド)
牡羊座:火星・第6光線 :水星・第4光線    :天王星・第7光線
牡牛座:金星・第5光線 :ヴァルカン・第1光線 :ヴァルカン・第1光線
双子座:水星・第4光線 :金星・第5光線    :地球・第3光線
 :     :        :         :
魚座 :木星・第2光線 :冥王星・第1光線   :冥王星・第1光線 


<チャールズ・W・リードビーター>

リードビーターは、1847年にイギリスのまじめなキリスト教徒の家庭に生まれました。
両親はオカルティズムにも興味を持っており、彼はブルワー・リットンの小説を愛読して育ちました。

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彼は牧師になりましたが、シネットの著作をきっかけとして、1883年に神智学協会に入会しました。
彼はクートフーミ大師の弟子になることを志願する手紙を書き、返事を受け取ったとされます。
セイロンで仏教に改宗した後、インドでブラヴァツキー夫人の秘書的な仕事に勤めました。
1895年に、ロンドンでアニー・ベザントの信頼を得て、神智学協会のヨーロッパ支部の副幹事長、副書記になりました。

その後、彼は、古代史や原子構造、協会員の過去生などを霊視によって解明して発表するなど、透視をもとにした教義の整備に取り組みました。

1906年に、リードビーターは、協会の少年を指導する際に、マスターベーションを強要したという告発を受けて、一時、協会からの脱退を余儀なくされます。
ですが、ベザントの力で復帰した後、1909年にクリシュナムルティを見出して、神智学協会のメシアニズムを主導しました。
ですが、少年への悪戯のうわさが絶えず、1916年頃、オーストラリアに移住しました。

著作には、1988年の「透視力」、1901年の「想念形態」、1925年の「大師とその道」、1927年の「チャクラ」など多数があります。


<リードビーターの7光線理論>

アリス・ベイリーの後を受けて、リードビーターもジュワル・クール大師から伝えられたとして、「大師とその道」で7光線理論について書いています。

光線の性質などは下記の通りです。

   (特徴)         (魔力)   (宗教)     (手段)
1:フォーハット(生命力) : ―     :バラモン教    :意志
2:智恵          :ラージャ・ヨガ:仏教       :意志
3:アーカーシャ(適応性) :占星学    :カルデア系    :メンタル体
4:ホーラスの誕生(美と調和):ハタ・ヨガ  :エジプト系    :エーテル体
5:火(科学)       :錬金術    :ゾロアスター系  :アストラルライト
6:神の化身(信仰)    :バクティ・ヨガ:キリスト教、カバラ:祈り
7: ― (礼拝)     :儀式魔術   :自然崇拝     :魔術

「ホーラスの誕生」については不明としながらも、自然な作用・相互作用の2力(例えば男女)を用いることに関わることとします。

また、リードビーターは、周期的に時代を支配する光線が変わり、現在は、第6から第7光線に変わりつつあると書いています。

リードビーターも、ベイリー同様、シャンバラ・ハイアラーキ―の組織、メンバー、9段階のイニシエーションと7光線を関係づけていますが、こられに関しても別項を参照ください。

リードビーターはチャクラを重視して、7つのチャクラを神智学の体系に取り込みました。
彼は、西洋の秘教に従がって、脾臓のチャクラを認め、その代わりに陰部のチャクラを数えません。
ですが、彼の著「チャクラ」では、7光線理論とは関係づけていません。


神智学の人類発生論と堕天神話

神智学の生命発生論と地球進化系」の地球の発生までの歴史から続いて、この項では、ラヴァツキー夫人の主著「シークレット・ドクトリン」を中心にして、地球における人間の進化のプロセスをまとめます。


<根幹人種と大陸>

天体Dである地球期は、7つの根幹人種の時代を進化します。
現在の我々は、5番目の後アトランティス時代に第5根幹人種としています。

各根幹人種の時代の初めには、新しい大陸が生まれます。
第5根幹人種の大陸は、ヨーロッパ、及び、アメリカです。

(根幹人種) (時代・大陸)
第1根幹人種 不滅の聖なる大地
第2根幹人種 ハイパーポーリア
第3根幹人種 レムリア 
第4根幹人種 アトランティス 
第5根幹人種 後アトランティス(ヨーロッパ、アメリカ)
第6根幹人種 第6大陸
第7根幹人種 第7大陸

大陸と人類を結びつけた進化論には、ファーブル・ドリヴェの影響があるでしょう。
彼は、レムリアやアトランティスについても語っていますし、「ハイパーポーリア」という大陸名は、彼が出典であると思われます。

それぞれの根幹人種は、特定の惑星の影響下で逆進化・進化します。
また、最初に、過去のラウンドの逆進化・進化を繰り返します。

ブラヴァツキー夫人は、7つの根源人類に関しては、ヘルメス文書の「ポイマンドーレス」やバビロニアの創世伝説の「7人の原人」、「ヴィシュヌ・プラーナ」の7マヌ(14マヌ)、カバラのエドムの7王が、それを伝えていると言います。

各時代に、新しい大陸が現れることは、「ヴィシュヌ・プラーナ」で、ブラフマー神が覚醒するたびに大陸を海から引き上げて、そこに7つの洲を作った神話の影響も見つけることができます。


<第1-2根幹人種>

第4ラウンドに入った地球は、最初に、太陽に「高級自我」の3複体となる「火」を分け与えて欲しいと願いましたが、太陽は時がきたら与えると約束しました。
地球は、動物界までは独力で作ることができますが、人間は「火」がないと作れません。

地球は自力で生命を進化させましたが、奇形な生物しか生まれず、絶滅させられます。
そのため、地球は、前の月連鎖で高い進化をした「月の主達(ピトリ、月の先祖達)」の助けを借りて、第1根幹人種を生みました。

第1根幹人種は、肉体のないエーテル体存在で、性別はなく発芽するように自生する存在でした。
大陸は「不滅の聖なる大地」と呼ばれる特別な大陸で、物質界になく、ラウンドを通して不滅でした。
そして、第1根幹人種には「死」はなく、第2根幹人種に吸収されて使命を終えました。

第2根幹人種は、雌雄同体で、「汗から生まれた」と表現されるように、母体から押し出されるようにして生まれました。


<第3根幹人種>

第3根幹人種はレムリア人で、金星の影響下に進化しました。

第3根幹人種は、「智恵の主達」と呼ばれる「クマーラ」達が転生できる体を思念の力で作り、「意志とヨーガの子達」と呼ばれる現在のマスターの先祖を生み出しました。

第3根幹人種は、骨を持つ存在となり、卵生で両性具有でしたが、徐々に男女の性別に分離していきました。

「クマーラ」は、「ヴィシュヌ・プラーナ」で語られるブラフマー神の息子で、子を産まない清浄な少年神的存在です。

前の連鎖である月で進化した「月の主達」には7クラスの存在がありましたが、その中で高位の「アグニシュバッタ達」は、「高級自我」を持っていました。
彼らは第3根幹人種の中への転生をすることを求められていたのですが、自分たちは「自由意志」を持っていることを意識して、転生を嫌がり、拒否しました。

これは、一種の反乱で、「ヴィシュヌ・プラーナ」では、彼らは「阿修羅(アスラ)」に当たります。

一方、下位のクラスの「バルヒシャド達」は、「高級自我」を持っておらず、転生しました。
ですが、人間に転生した彼らは、動物とも交わって半獣半人、巨人族を生み出して、進化に逆らって堕落してしまいました。
ですが、彼らにはまだ知性も自我もないので、責任は問えません。

子を産む「バルヒシャド」は、「ヴィシュヌ・プラーナ」では、ブラフマー神が子孫を残す息子として生んだ、「プラジャーパティ」に対応するのかもしれません。

それで、第3根幹人種の中頃に、金星から「炎の主達」と呼ばれる神的存在達が到来し、人間の「メンタル体(マナス、心、知性)」を形成しました。
「神智学大要」によれば、金星は太陽系の進化系で最も進化していて、現在、7ラウンドにいます。
「炎の主達」とは、「世界主」と呼ばれる「サナート・クマーラ」をトップにした、地球を指導する集団で、「大白色同胞団(シャンバラ・ハイアラーキー)」と呼ばれるようになります。

「シャンバラ」は「ヴィシュヌ・プラーナ」では、単に救世主が生まれる村の名前です。
ですが、「カーラチャクラ・タントラ」とそれを継承したチベットでは、救世主にもなる聖王が治める国です。

「炎の主達」は、一つの「進化系」で一度のみ、霊的存在が下降しきって上昇に転じる宇宙的転換点に、つまり、第4連鎖、第4ラウンド、第4天体のDの、第4根幹人種の時代を前に到来します。

そして、「メンタル体(マナス)」を形成して、「モナド」を内包する「高級自我」の3複体が人間に転生する準備を完了しました。


<第4根幹人種>

次の第4根幹人種のアトランティス人は、月と土星の影響下にあり、ちょうど下降から上昇への、逆進化から進化への転換点の存在です。
彼らは今の人間に比べると巨人でしたが、言葉を発達させました。

第3根幹人種に「メンタル体」が作られたことによって、第4根幹人種に、「智恵の子達」と呼ばれる「アグニシュバッタ」達が、人間に転生し始めました。
実際には、第3根幹人種の最後の亜人類の時からですが。

これによって、人間は知性と自我と自由意志を獲得し、「知恵の木の実」を食べたのです。
ですが、先に書いたように、人間は堕落を経験していたため、彼らはその悪いカルマの影響を受けました。
「アグニシュバッタ」達は、本来、もっと早く人間に転生すべきと定められていたのですが、それに反逆した結果、人間の体を汚してしまったのです。

こうして、人間の「心」は、動物的な欲望に従属し、物質的な下降を志向する「低位マナス」と、「ブッディ(霊的直観)」に従って上昇を志向し、物質的な部分を従属させる「高位マナス」とに分裂してしまいました。
そして、前者が優位な「光の子達」と、後者が優位な「闇の子達」の戦いが始まりました。

そして、アトランティスでは、「闇の子達」が利己的に魔術を使用するようになりました。


<堕天使と悪魔の神話>

ブラヴァツキー夫人は、第3根幹人種の時代に、「モナド」が「高級自我」として人間に下降したことは、「ルシファー」の転落の神話として表現されたと言います。
「高級自我」を持つ「アグニシュバッタ」達が、自由意識から反逆したことは、「天使の反乱」の神話に当たります。

夫人は、「シークレット・ドクトリン」とは別の文書で、「アフラ・マズダ」が第4根幹人種の「メンタル体」になった神であるとも書いています。
ミトラ教の伝統では、「アフラ・マズダ」は「原人間」であり、「光のかけら」となって地上に落ちた存在です。

また、夫人は、「サタン」と「サマエル」を同一視し、本来は「霊智(ブッディ)」である、至高の神なる「霊」であるとも書いています。

そして、「ルシファー」=「サタン」は、「知性の啓明」、「自由」、「思考」の霊、高みにおいては「ロゴス」であり、最低においては「敵対者」として、自我に反映されると書いています。
また、堕天使とされる「アザゼル」は霊的なものと魂の葛藤を象徴する存在であるとも書いています。

つまり、「モナド」である「ルシファー」=「アザゼル」が降下して、「低位マナス」として物質に染まった部分が、「サタン」、「アーリマン」などとして表現されるようになり、染まらずに純粋な部分は「アフラ・マズダ」と表現されるのです。

そして、「光の子達」と「闇の子達」の戦いは、「インドラ」と「阿修羅」の戦い、「ミカエル」と「サタン」の戦いという神話として語られるようになったのです。

ですが、ブラヴァツキー夫人は、カバラの「数の書」では、「サムエル」、「サタン」と「ミカエル」が同一の存在であることが示されていると書いています。

ブラヴァツキー夫人は、キリスト教系の堕天神話と、神や神的な「原人間」の犠牲的な死によって人間の魂が生じたとするイラン系、グノーシス系、オルフェウス=ディオニュソス系の救済神話が、同じ一連の出来事の反映であり、同じ意味を持っていると理解しました。

ブラヴァツキー夫人は、以上のような理解を「秘教教義」の核心、「秘教」たる部分であると考えました。

つまり、本来、ロゴス的、神的、叡智的存在であり、人間に自由意志をもたらすために人間の中に入った存在を、キリスト教などの顕教がそれを歪めて、堕天使、悪魔、悪神と見なしたのであると。
「堕天使」は「堕天」したではなく進化のための受肉したのであり、「悪魔」は絶対的な神の敵対者ではなく、智恵に目覚めれば、叡智としての本来の姿を見せる存在であると。

マズダ教は「アーリマン(=アザゼル)」を悪神化しましたが、ミトラス教やミール派イスラム(シーア派ミトラ神話)は、「アーリマン」が第一天使に復活したことを「秘密教義」としました。
神智学は、この思想を継承しています。

ただ、堕落と人間の自由意志を結びつける思想は、ベーメやスウェデンボルグにもあります。


<第5-6根幹人種>

現在の第5根幹人種は、「アーリア人」と表現されます。
ですが、ブラヴァツキー夫人は、この言葉を現実の白人種のアーリア人とは違う意味で、現在の人類を総称する意味で使いました。
しかし、後継者は、必ずしもその意味で受け取りませんでした。

第5根幹人種は、水星の影響下にありますが、水星はミトラや仏陀の智恵の惑星とされます。

神智学は、第5根幹人種を教化するために、イエスに「世界教主(キリスト)」のマイトレーヤの霊が宿った(オーバーシャドウした)とします。
イエスは死後、マスターとして大白色同胞団に参加しました。

ですが、イエスはそれ以上に特別な存在ではありません。
「世界教師」は大白色同胞団(ハイアラーキー)の役職名で、マイトレーヤはクリシュナやゴータマにも宿りました。

ですが、第5根幹人種は、アトランティス人の歪んだ記憶が潜在意識に残ったため、キリスト教などが、「ルシファー」などを悪魔視し、秘教を弾圧するようになってしまいました。


第5根幹人種の亜人種とその文化については、ブラヴァツキー夫人は「シークレット・ドクトリン」でははほとんど述べていません。

ですが、アディヤール派の「神智学大要」によれば、現在の我々は、第5番目のチュートン亜人類の時代にあります。
ですが、すでに第6亜人類は、オーストラリア、アメリカに生まれつつあるとします。
彼らは、直観と叡智を発達させる使命があります。

(7つの亜人種の時代)
1 ヒンドゥー
2 アラビア
3 イラニア
4 ケルト
5 チュートン
6 オーストラリア、アメリカ
7 第7亜人類

第6根幹人種は、アメリカ人がもとになって生まれますが、リードビーターによれば、対応する新大陸が生まれる前には、カルフォルニアに拠点が作られます。